日経平均株価が史上初の4万円台を突破しました。この株高は投資家だけでなく、年金にも恩恵をもたらしています。
■「資本市場のクジラ」世界最大の機関投資家
年金積立金管理運用独立行政法人、通称「GPIF」は、現役世代が納めた年金の一部を管理・運用しています。オフィスを案内してもらいました。
GPIF広報 天明麻衣子さん
「(職員は)160人ほどいて、この160人で220兆円を運用している。150以上ファンドを管理しているので、個々のファンドがどういう状況なのか分析している」
GPIFが運用する資産は、およそ220兆円。「資本市場のクジラ」の異名を持つ、世界最大の機関投資家です。
天明さん
「(Q.個別の銘柄を売買している?)株式については個別の銘柄を売買というわけではなく、運用会社に運用を一任している」
■かつては巨額損失を計上…批判の的に
年金は「保険料収入」と「国庫負担」で賄われていますが、年金を支払い、余った資金を「積立金」としてプールしています。その積立金を増やすべく、運用しているのがGPIFなのです。
GPIFは「国内株」だけでなく、「外国株」「国内債券」「外国債券」の4種類を投資・運用しています。2015年度には巨額の損失を計上し、国会で野党の批判の的になったこともありました。
民進党 山井和則国対委員長代理(当時)
「昨年度(2015年度)が5兆円、今年4月~6月が5兆円。10兆円もの国民の大切な年金が失われてしまった。私たちの大切な年金がアベノミクスの犠牲になっているのでは」
■日経平均上昇 年金増額へ期待高まるも…
ところが、去年は34兆3077億円のプラスと、年間の収益としては過去最高を更新。日本株だけでも12兆円余りのプラスとなりました。
さらに今年は、日経平均株価がすでにおよそ20%も上昇しています。国内株だけで、さらに数兆円規模の含み益が出ている可能性もあります。
天明さん
「もちろん株高になれば運用収益も上がるが、GPIFは長期分散投資をしているので、長期的に上がっていくということが大事だと考えている」
かつてないほどの運用収益が出ている状況に、年金受給者からは「年金はやっぱり上がってほしいなと思う」「実際上がってくれれば、うれしい」など期待が高まっています。
高まる年金受給額アップへの期待ですが、ニッセイ基礎研究所の井出真吾主席研究員によると「残念ながら、GPIFの収益が上がったからといって、年金が増えるわけではない」ということです。
(「グッド!モーニング」2024年3月6日放送分より)
[テレ朝news]